幻想の音楽逍遥ツウシン

散文的な考察と諸々の文化を交えて音楽をディスクガイド的に書いてます。

ジョジョとSticky Fingersの輪郭〈ジョジョの奇妙な冒険シリーズ〉第2回

前回に引き続きアニメの進行を妨げず「ジョジョの奇妙な冒険」第5部から「スタンド」に付けられた音楽を周辺の音楽も交えて紹介します。今回はブローノ・ブチャラティのスタンド「スティッキィ・フィンガーズ」の元になったローリング・ストーンズの1971年のアルバム「Sticky Fingers」に関連したジャンルの音楽やアーティストに焦点を当てます。

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ニューエイジ・ミュージックへの通路 第1回

近年ニューエイジ・ミュージックの再評価が緩やかに起きています。

2013年にLight in the Atticからリリースされたコンピレーションアルバム「I Am the Center: Private Issue New Age Music in America, 1950-1990 」辺りから徐々にその炎が灯り2015年にMariahのアルバムがPitchforkで取り上げられた事で注目され、2016年にはThe Numero GroupよりJoanna Broukのコンピレーションアルバムがリリースされ更に再評価の動きが加速したと推察します。また、Visible Cloaksの注目とAbletonによる彼等へのインタビューや、ガーディアン紙による特集も再評価の推進力になっているのだと思います。また同じ時期に自分もニューエイジ・ミュージックが気になり出しました。2017年にはVisible CloaksのメンバーであるSpencer DoranとMaxwell August Croyによって設立されたレーベルEmpire of Signsから吉村弘の「Music for Nine Post Cards 」がリイシューされました。

この動きがもっと続いて欲しいと思ったので今回は年代別にニューエイジ音楽と周辺音楽の紹介をします。

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ベストリストに載るべき2018年ベストアルバム 

  • 最近は年末のベストリストの公開が凄く早いですよね。pitchforkVinyl Me, PleaseGorilla vs. Bearのリストその他の50以上のベストリストをいずれも楽しく見ていて自分もリストを作ろうと思い立った訳ですが最初はジャンルを分けて分割しようと考えたのですが今回はジャンル分けをせずにシングル、EP、コンピレーション等をごちゃ混ぜにして一言ずつ紹介します。
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ANEMONE 交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューションの記号から知るテクノ 後編

前編に引き続き後編もエウレカセブンのキーワードからテクノ周辺や現行のテクノを紹介します。

前作の「ハイエボリューション」ではチャールズ夫妻を中心に展開していたがTV版のエウレカセブンではチャールズ夫妻を疑似家族を経た先の通過儀礼のような役割が担われていたように思いますがリブート版ではアネモネの親子観がどのような役割に今後移るのか期待しています。後半ではキャラクター編としてテクノ音楽を紹介します。

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ANEMONE 交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューションの記号から知るテクノ 前編

2005年にTV放送された「交響詩篇エウレカセブン」のリブート企画としてスタートした「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」の第2部が公開されました。今作はTV版でエウレカとの対照として描かれていたアネモネが主軸となって展開されています。エウレカセブンの舞台では様々なメカニック、事象、人名やサブタイトルに音楽のキーワードが盛り込まれています。特にテクノ音楽のキーワードが頻繁に出てくる事がこの作品の特徴です。監督の京田氏は次のように述べています。

僕らはアニメも好きだったけれど、テクノも好きで、テクノは ”自分たちの世代の音楽” つていう気持ちがあります。

エウレカセブンWalker」より引用

 

この記事では本編に出てくるメカニックを手掛かりにテクノやテクノ周辺の音楽に関連アーティストそして現在のテクノを中心に紹介します。

 

eurekaseven.jp

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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの「最強ミックス」と最新ミックステープ

先日、今更ながら「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を観ました。

 

ネタバレを含みます。

 

偶然なのかスペース・オペラ版のジョジョ第5部なんじゃないのかと思って観ていました。そしてこの映画は音楽が重要だという情報を耳にしていたんですが、観ている最中は展開の合間に流される60年後半から70年代に集中した楽曲がテンポよく流れるだけで一体どの辺りが重要なんだろうと思っていたのですが見終えてその意味を理解しました。劇中に流れる音楽も素晴らしくてその時代を知らなくても充分楽しめると思ったのですがそこからもう少し掘り下げて今回はこの時代の音楽と周辺の音楽も紹介します。

 

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出典:http://marvel.disney.co.jp/movie/gog-remix.html

 

ピーター達がノバ軍に捕らえられたシーンで流れるBlue Swedeの「Hooked On A Feeling」はこの映画でとても印象に残る曲の一つです。

 

Hooked on a Feeling」1973年作品

 

冒頭の民族音楽のようなリズムがすごく特徴的ですが曲の後半はとても軽快なメロディーでポップな曲調に仕上げています。アルバムに収録されてる他の楽曲を聞くとポップ・ロックとユーロ・ポップをバランス良く取り入れたアルバムである事がわかります。

ユーロ・ポップは1970年代の初期にヨーロッパ本土を中心に展開されたジャンルで主にヨーロピアン・フォーク・ミュージックやポルカ、シュラガーそしてグラム・ロックなどの要素が仄かに内包された情緒的で商業的なポップソングが特徴です。

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ジョジョとニュー・ジャック・スイングを知る目印〈ジョジョの奇妙な冒険シリーズ〉第1回

ジョジョの奇妙な冒険」の第5部が今年の10月にアニメ化されました。

初めて自分がこの作品を知った部であり、一番好きな部でもあります。

今からこの作品に触れる方々に配慮し、アニメの進行を先回りする事は避けて、とりわけこの作品特有の概念である「スタンド」に冠された音楽の周辺作品や現行の音楽を無理矢理、少しずつディスクガイド的に紹介します。

 

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